勝手に追加されるFX学習室は、LINE・Telegramの「投資学習」「FX交流」を名乗るグループに無断招待し、個人名義口座への振込を誘導するSNS発生型投資詐欺です。
徳島県を含む複数自治体が2025年の早い段階で注意喚起を発表し、県民相談「投資トラブル部門」ワースト1位となりました。全国集計では相談件数 2,500 件超 / 推計被害総額 20 億円超に達しています(2025 年 6 月末時点)。
グループ追加のトリックと背景
「突然LINEに知らない投資グループが…」――被害者の多くが語る第一声です。運営者は闇マーケットや懸賞アプリで収集した電話帳データを利用し、LINE APIの「招待」機能を濫用。承諾不要でユーザーをまとめて数百人単位で投げ込みます。
グループに入ると、以下のシナリオが高速で展開:
- 自動歓迎メッセージ――ボットが「今日から一緒に学びましょう!」と投稿。
- “先生”の登場――自称トレーダーがライブ配信のスクショを連投。
- サクラの絶賛レビュー――「わずか3日で+5万円!」と成功談が5分おきに。
- 個別チャット誘導――新規参加者にだけDMで口座開設リンクを送付。
ポイント:LINE設定の「友だち自動追加」「グループへの招待許可」をオフにし、そもそも招待させない環境を作るのが最前線の防衛策です。
国内被害統計と徳島県の最新警告
国民生活センターの統計では、FX学習室型の相談が2023→2024年にかけて174%増と急増。2025年は半年で前年を上回るペースです。
徳島県消費生活センターは2025年4月、「投資学習をかたるSNS投資トラブル急増」を掲載し、次のように注意喚起しています:
- 被害者の約7割が女性、年代は30〜50代が中心
- 少額(1〜2万円)の出金が成功した直後に高額請求が発生
- 振込先の9割以上が個人名義、または海外送金指示
さらに警察庁の特殊詐欺速報によると、金融商品詐欺の54%がSNS・コミュニティ型にシフトし、「個人口座振込」がカギを握ると分析されています。
個人口座振込スキームを徹底解剖
なぜ個人口座なのか? それは送金取消が難しいうえ、名義貸しによって追跡を遅らせられるからです。典型スキームを図解で確認しましょう。
ステップ | 詐欺側のメッセージ例 | ユーザー心理 |
---|---|---|
① 少額テスト | 「1万円から実力を確認しましょう」 | リスクが低いと錯覚 |
② 出金成功 | 「おめでとう!利益は口座に送金済み」 | 本物と信じ込む |
③ 本番入金 | 「利益率を上げる専用口座へ送金して」 | もっと稼ぎたい |
④ 追加請求 | 「税金5万円を先払いで」 | 失う恐怖で支払い |
⑤ 音信不通 | 既読無視・グループ解散 | パニック |
警告:「個人名義の●●銀行口座へ振込」=詐欺確定フラグ。金融庁登録業者は顧客資金を必ず分別管理口座(法人名義)で受け取ります。
ケーススタディ:3つの典型被害パターン
相談実例から学ぶ〈被害シナリオ〉。自分に当てはまらないか要チェックです。
ケースA:副業ハイライト型(30代会社員)
副業インフルエンサーのX(旧Twitter)投稿からグループ入り。
実質3日で+1万円の“成功体験”でドーパミンが全開、70万円を投入。
「システム維持料8万円」を払った直後に先生がブロック。
回収状況:銀行へ即日払戻し依頼→20万円のみ戻った。
ケースB:家計補填型(40代主婦)
インスタDMの「ママでもできる投資術」から参加。
子どもの学費を稼ぐはずが、税金名目5万円、口座維持費10万円を追加送金。
グループは夜中に消滅。
回収状況:弁護士介入で振込先口座を仮差押え → 45%回収。
ケースC:退職金ハイリスク型(60代男性)
Facebook広告の「退職後の資産運用セミナー」へ参加。
退職金300万円を一括投入、VIPアップグレード料60万円を拒否し出金不能。
弁護士とブロックチェーン解析会社に依頼し、約200万円回収。
二次被害 ― 返金代行を装う新手口
被害者コミュニティに割り込む形で新たな詐欺が発生:
- 返金保証サービス―「弁護士チームと提携、先に手数料10万円」で逃亡
- 暗号資産保証― TXハッシュを渡すと“保証金USDT”を要求
- 集団訴訟クラファン― 開示請求費用をクラウドファンディングで集金後に消失
覚えておくべきこと:弁護士は着手金=法定書面+所属番号を提示します。LINEチャットのみで完結する“返金代行”は99%詐欺です。
セルフディフェンス 8と専門家の回収術
被害を未然に防ぎ、被害後に取り戻すための実践リスト。
チェック | 即行動 | 専門家が行う対処 |
---|---|---|
無断招待 | グループ即退会+迷惑通報 | 悪質アカウント情報の照会申請 |
個人口座 | 送金前にGoogle検索+金融庁DB照会 | 口座名義人の取引履歴を調査 |
先払い要求 | 100%拒否・証拠スクショ | 詐欺罪の立証資料として保存 |
暗号資産 | TXハッシュ保存 | 解析会社と連携し送金ルート特定 |
振込後24h以内 | 銀行へ「組戻し・被害届写し」提出 | 弁済業務保証金仮差押え申立て |
海外送金 | 中継銀行に停止要請 | 民事保全・強制執行手続 |
二次詐欺 | 返金代行は全ブロック | 弁護士が正式受任・費用明示 |
家族相談 | 第三者目線で冷静判断 | ― |
まとめ ― 専門家相談が最短ルート
FX学習室詐欺 = 無断招待 × 個人口座 × 追加請求 × 音信不通。
「1万円出金できたから大丈夫」は禁物です。追加送金を止め、証拠を保全し、なるべく早く法律家へ。
早期対応が資金回収率を2倍以上に高めるというデータもあります。
\ 詐欺被害相談の実績多数 /